事実の羅列
バイト先の休憩室で社訓の書いてあるホワイトボードをぼんやり見つめながらお茶を飲んでいると、
主任が入ってきて、本社から役員が来てるので挨拶するように、と僕に言う。
僕は早速事務室に向かい、その役員におはようございます、新入りです、と挨拶をする。
役員はよろしく、と言ったあとにやや間を置いて、髪が気になるな、と前髪を払う仕草を見せる。
僕は髪を切りたくないので、無言の曖昧な笑顔で対応。
今日暑いね、と話題を変える役員。
暑いっすね、ここ2、3日かなり暑いです、と話題に乗っかる僕。
うん、髪切ったほうがいいよ、と話題を戻す役員。
僕は髪を切りたくないので、無言の曖昧な笑顔で対応。
意味のない時間が流れる。
役員が黙って部屋を出たので、お疲れ様です、とやや声を張って頭を下げる。
僕は休憩室に戻り、社訓の書いてあるホワイトボードをぼんやり見つめながら、
髪切ろうかな、と思った。