スマイル
自分ではニコニコしているつもりだけどニヤニヤしていると言われる。
自分では爆笑しているつもりだけど鼻で笑っていると言われる。
微笑んでるつもりだけど引きつった笑いだと言われる。
これは笑う練習をした方が良いのかも知れない。
都度都度ハッピーエンド
リビングでキャットフードを
かりかりと音立てて食べる飼い猫を見ながら
淹れたコーヒーにミルクを落とした
瞬間、
流れる壮大なファンファーレ。
トランペット、ドラムロール。
ドラムのピッチが最高速に達し、鳴り響くシンバル。
暗転。
画面外から飛んできた羽のペンが画面中央に大きく「Happy End」と綴る。
左手の人差し指の爪を切り終え、
中指に爪切りの刃をあてた
瞬間、
流れる壮大なファンファーレ。
トランペット、ドラムロール。
ドラムのピッチが最高速に達し、鳴り響くシンバル。
暗転。
画面外から飛んできた羽のペンが画面中央に大きく「Happy End」と綴る。
職場の休憩所でタバコを吸いながら
ぼんやりと窓の外の夕日を見るでもなく見ている。
天井からぶら下がったちぎれた蜘蛛の巣が揺れている。
そろそろデスクに戻ろうかなと思い
タバコの火を灰皿に押し付けた
瞬間、
流れる壮大なファンファーレ。
トランペット、ドラムロール。
ドラムのピッチが最高速に達し、鳴り響くシンバル。
暗転。
画面外から飛んできた羽のペンが画面中央に大きく「Happy End」と綴る。
アウト
バイトの休憩中、同僚の女の子に
「八木さん今日髪型かっこいいね、良い感じです」と言われ、
「ありがとうございます。片陸ポイントを…」と言いかけて、やめた。
容姿を褒められたら片陸ポイントをあげようとするクセがついてしまっている。
あやうく片陸さんを知らない人に片陸ポイントをあげるところだった。
セーフ。
(片陸ポイント…?)みたいな空気は流れたていたけども、セーフ。
日記
夕方に直撃するはずの台風が南側に逸れ
ずぶ濡れになって帰ろうと思っていたのに小雨がしとしと降っているだけだった。
生乾きの服を着たまま少し寝て、それから犬を散歩に連れていく。
外はもう暗い。雨は完全にやんでいる。
斜めに半円、より、やや大きいくらいの月が薄く見える。
昨日、隣のアパートの垣の根本に捨てられていたプラスチックのタンブラーが今日もそこにそのままある。
敗北
僕の無知を誤魔化す渾身の必殺技
「あんまり興味ないんで…」をいとも簡単に打ち破る
「いや、興味なくても普通知ってるでしょ」