送った人が気づかない場所で返信をするコーナー。 返信:いっぱいあざす。 返信:あざす。ところで僕の住所どこから漏れてるんすか? 返信:怖いなぁ。 返信:30歳独身です。 返信:「キテ」のカタカナが気になりすぎて内容が入ってこなかったです。すいませ…
タバコを買いに自販機まで歩いている途中、安井先輩に声をかけられた。 「久しぶり、元気してる?」 安井先輩というのは僕の高校の時の2つ上の先輩でバスケ部のキャプテンをやっていた人である。 その安井先輩の首が安井先輩の腹部にめり込んでいた。 「首を…
絵を描きながらいつの間にか眠っていたらしい。 それはちょっとピンと来ないですねぇ…という言葉を発しながら目を覚ます。 何の夢を見ていたのか全く思い出せない。 それはちょっとピンと来ないですねぇ…が頭の中でグルグルと回る。 作業に戻る。
Youtubeを流し聴きしてたときに流れてきたCMの 「嬉しいことがあった日は…とにかく踊るのだー!」 というセリフの直後に 「ほざけ」とナチュラルに呟いてしまった自分の心を恥じる。 www.youtube.com
家の向かいの通りから女性の怒鳴り声が聞こえたので窓を開けて覗くと 中学生くらいの女の子が その子よりもひと回り背の低い男の子の胸ぐらを両腕でつかんでいた。 僕は窓を閉じた。 午前7時40分。
いや、どの食品やねん。 見出しだけじゃなく詳細にも書いてないんかい。 何作らされんねん。
4ヶ月ほど前からパチンコ屋でバイトしている。 台のエラー音が聞こえたらすぐさま駆けつける、ということを繰り返しているうちに、エラー音の幻聴が聞こえるようになってきた。 エラー音を聞いてダッシュで台に駆け寄ると、何のエラーも出ていない。 僕が「…
公園にて。 小学3、4年生くらいの男の子がカラフルな的に向かって、ナイフを投げて遊んでいる。 ナイフは1本だけしかないらしく、 投げては的まで走って引き抜き、 元の場所まで走っては投げ、遊んでいる。 それを少し離れたベンチから見ていた僕の太ももに…
「何で注意されてるときに笑ってるんですか」と先輩に叱られる。「笑ってるんじゃなくて、ナチュラルな表情がこれなんです、すいません」と謝ると、「ナチュラルって言葉選びがもうふざけてる」と叱られる。 ナチュラルにナチュラルという言葉選びをしたつも…
自分ではニコニコしているつもりだけどニヤニヤしていると言われる。自分では爆笑しているつもりだけど鼻で笑っていると言われる。微笑んでるつもりだけど引きつった笑いだと言われる。これは笑う練習をした方が良いのかも知れない。
リビングでキャットフードを かりかりと音立てて食べる飼い猫を見ながら 淹れたコーヒーにミルクを落とした 瞬間、 流れる壮大なファンファーレ。 トランペット、ドラムロール。 ドラムのピッチが最高速に達し、鳴り響くシンバル。 暗転。 画面外から飛んで…
バイトの休憩中、同僚の女の子に 「八木さん今日髪型かっこいいね、良い感じです」と言われ、 「ありがとうございます。片陸ポイントを…」と言いかけて、やめた。 容姿を褒められたら片陸ポイントをあげようとするクセがついてしまっている。 あやうく片陸さ…
ランプの魔人に 「3つ願いごとをかなえてやろう」と言われたとしたら僕は、 1つ目に、魔人だったらどういう願いごとをするか聞き、 2つ目に、その魔人の願いごとを叶えてあげ、 3つ目に、3万円貸してもらう。 そしてその3万で寿司を食って 新しい靴を買う。 …
夕方に直撃するはずの台風が南側に逸れ ずぶ濡れになって帰ろうと思っていたのに小雨がしとしと降っているだけだった。 生乾きの服を着たまま少し寝て、それから犬を散歩に連れていく。 外はもう暗い。雨は完全にやんでいる。 斜めに半円、より、やや大きい…
僕の無知を誤魔化す渾身の必殺技 「あんまり興味ないんで…」をいとも簡単に打ち破る 「いや、興味なくても普通知ってるでしょ」
チャイムが鳴ったから庭に出ると 門の前におばちゃんが二人立っていた。 この時点で大体分かった。 宗教の勧誘だ。 宗教の勧誘は基本的におばちゃん2人のツーマンセルで行われる。 オッサン2人のツーマンセルで行動する刑事とは対を成す存在だ。 おばちゃんA…
僕は優しい男なので、 頭の中で腹立たしい人間を殴るときでも、女性をグーでは殴らない。 肩を強めに押すくらいで済ませている。 男性はグーで殴る。 中指を尖らせてこめかみを殴る。 慈悲はない。
若い男女がひと組歩いている。 歩調が早い。 男はいつものように歩いている。 女は明らかに男に合わせて歩いている。 男は軽快なトークを繰り広げている。 女は相槌を打つものの、話の内容が全く頭に入ってこない。 こいつ歩くの早ぇ~、と思っている。 男は…
バイト先の休憩室で社訓の書いてあるホワイトボードをぼんやり見つめながらお茶を飲んでいると、 主任が入ってきて、本社から役員が来てるので挨拶するように、と僕に言う。 僕は早速事務室に向かい、その役員におはようございます、新入りです、と挨拶をす…
失ったとき分かるんじゃなくて、手に入れたとき分からなくなるんだと思う。
テニス部のミーティング中にパンを食っていたら、 先輩に「監督が話してる時にパン食うな!」と叱られる。 先輩は普通に注意してくれたんだと思うけど、 僕は前日その先輩に試合で勝ってしまっていた。 周りからは 負けた後輩に当たり散らしてるめちゃくちゃ…
犬がおやつの骨を噛み熟しながら僕の腕をじっと見つめている。 僕の腕を食っているイメージを頭に浮かべながら骨をかじっている。 食っていいぞ、と僕の腕をちぎって放ったら、この犬は喜んでむしゃぶりつくだろうと僕は確信している。
夕食を一通り食べ終わったあとに、鍋の中に昨日の残りもののスープがあるのを見つけた。 傷む前に片付けてしまおうと、食器にそのスープを注いですすっていると、弟がぎょっとしたような顔をして、 「それ、さっき酢の物入ってた器?」と僕に聞く。 僕は答え…
やかましいわ。
僕がよく言うジョークの一つに、 「母は僕が生まれる前に死んじゃったんです」というのがある。 これが悲しいくらいに伝わらない。 「いや生きてるでしょ」とか「嘘じゃん」的な間違ったツッコミを入れられる。 もしくは 「そうなんだ…」とか「あっ、すいま…
誰かに見られたら褒められそうなことを誰かに見られた瞬間、全く無価値なものに変わる。 栗や松茸を届けていたことを兵十に気づかれること無くただ撃ち殺されるごん狐がベストエンディングだと僕は思う。 グッドエンディングではないけど、ベストエンディン…
白衣を着た横分けのオッサンが ひょうたんのような形をした模型を指差しながら 「研究の結果、我々の住む地球は球体ではなく、実はこのようなくびれた形状だったということが分かりました」という発表。 メモに筆を走らせる記者たち。シャッターを切るカメラ…
今ふと考えて安心することは妻子のいなかったことで、申し訳なさそうな表情一本槍で嫁だけに仕事をさせて僕は毎日家で寝ているだろうということ。 考えごとをしているふりをしながら何も考えないだろうということ。 善後策のない「仕事辞めていいよ」という…
ずっときのこの山のほうが好きなフリをして生きてきたけど、本当はたけのこの里のほうが好き。 きのこのビスケットよりたけのこのクッキーのほうがおいしいし。